1.はじめに
今回予防と健康管理の授業2回にわたり、うつ病、ストレスとアスベストのビデオを見させていただき、知らなかった事の多さに驚くとともに、今までその詳細をあまり知らなかった病気について、調べる機会を得ることができました。
今回のこの機会を無駄にすることなく、その発生原因、症状、対策等について詳しく考察していきたいと思う。
さらに自分の考えをしっかり持つことも、将来医師になるものには必要不可欠であると思うので考えをはっきり持ち、述べたい。
2.選んだキーワード
「うつ病」と「性格」
3.選んだ論文の内容と概略
うつ病は患者がその理想型の中心からどのような位置にあり、そのズレをもたらす要因が何かを見つけ改善していくかで治療の成果が変わってくる。
患者で薬物治療に反応せず、慢性化するものの中には背景に人格が隠れているものがある。
「笠原―木村分類」
1単極性内因性うつ病の神経症
2神経症うつ病
3双極性障害の長期化
4人格障害の抑うつ
5精神病後抑うつ
6外傷反応性抑うつ
1単極性内因性うつ病の神経症化の概念では、病前性格はメランコリー親和型であって、時間生物学的症状がそろっているため、内因性と診断されるが徐々に奥に隠れている人格構造上の病理が露呈してきて、抑うつが遷延化するという見方である。従来慢性抑うつは、表層の正常な人格と奥にある病理的人格の割合によって、様々に診断され、分類されてきたと考えられる。
1表層の正常な人格明確に形成されて適応されているもの
2表層の正常な人格が脆弱なもの
4表層の適応人格がほとんどないもの
6病前は正常なパーソナリティーが機能していたと考えられるが、外傷をきっかけに人格の病理が出てきている場合が多いとおもわれる。これは同じ心的外傷を受けてもそれが傷になる人とならない人がいることからもいえるし、たいていの場合、治療においても人格形成に影響を及ぼしたと考えられるし幼児期の外傷体験に遡って扱う必要があることからも言えるだろう。
Wパーソナリティーとは、一見正常な表層の人格と深層にある病理的人格構造の二重構造のこと。この概念が必要となるのは、ある時点までは、特に問題なく機能してきたが、何らかの原因で人格障害を発症することがしばしばあることを証明するためである。すなはち、人格障害という生活史において徐々に形成されてきたはずのものが、ある時点で発症するということは理念的にあり得ないのであるが、実際には事件や失恋、心的外傷をきっかけに発症するのである。
内在性のうつ病の部分と人格障害による抑うつの部分とが併存し、抗抑うつ剤がその前者にのみに効果を発揮すると考えられる
ケース1
60歳男性、患者は始め老年期にありふれたうつ病を示し坑うつ剤を投与し、かなり病状は改善した。しかし、薬の効きが悪くなり詳しく聞くと、定年を数年後に控え、自分の人生を振り返ると、あまりにも不本意だったという思いが強くなってきて、「このまま老年期を迎えるわけにはいかない」という焦燥感があることが見てとれた。今までの蓄積した不本意だという悔しさや怒りが遡って整理しない限り、安心して眠ることも年を取ることもできないという状態であった。彼は仕事で成功を収め高い地位についていたのであるが、彼に言わせれば、一点欠けているために母親を失望させているという。15年前に死去した母親に認めてもらうことだけを考えている。
一見したところ、几帳面で礼儀正しく、社会機能も高いメランコリー親和形であるが、親しい人に対してはナルシスティックで、共感性を持たない病的性格と思われた。そして、最初のうつ病像は単極性内因性うつ病であったが、まもなく本来のナルシスティックパーソナリティーの側面が出てきて長期化した。
慢性抑うつの約半数は、抑うつの成因として人格病理が関与してる。
患者の葛藤に焦点を当てて診断すると抑うつ患者の内因性の患者の側面がよく見えるし、一方精神分析に基盤を置く立場からは患者のパーソナリティや葛藤に注目し、治療においても精神療法が中心になり坑うつ剤は補助的なものになりがち。
抑うつのもたらす人格病理には3系統あり
スキゾイドパーソナリティ:空虚感、絶望感を主にした抑うつで、内界への退避
ナルシスティックパーソナリティ:怒り、劣等感を主にした抑うつで、自分自身で自分を支えるということ。
境界例:行動化し、性的興奮で空虚を埋める。
ナルシスティックパーソナリティとしては乳幼児期の対人環境に似ていて、対人関係は
希薄ながら、一方で自分は特別な存在だという、幼児的万能感がささえてくれる。誇大な
自己を持つことで躁的防衛を行う。そして、自信満々な自己はまた周囲の賞賛を浴びるよ
うに振舞う:これが病前の性格
現実の抑うつ的自己を無視して、これを負の遺産として蓄積する。患者の能力が低下して
達成基準を下回ると発症する。関心は自己のみに向かう。
スキゾイドパーソナリティ:幼児期の対人環境には過酷なものがある。
心的退避によって守られている。こうして現実と関わらないために、感情の欠如
、空虚、アパシーなどが生じる。
2)軽症うつ病の病前性格
うつ病前の性格として、とりわけ注目されてきたのがTellenbachの提唱したメランコリー親和型性格である。その本質的特徴は道徳、対人関係、職業関係という3つの生活領域の全てを貫く「秩序愛」であると言われる。さらに笠原は彼らにもっとも特徴的なことは「他人との関係の円満性の維持」に腐心することであると指摘した。
これまでメランコリー親和型性格の良い点ばかり上げてきたが、その弱点としては第一に他人に評価され認められたり、賞賛されないと自己評価を確立できないという点がされよう。さらに最大の問題点は、むしろ会社組織などに過剰に適応しすぎることにある。自己主張や自我同一性の弱さから、様々な社会的役割との過剰な同一化へと逃避。
彼らの過度なまでの他者への配慮性は、他者との不和による心身面での負荷を回避して精神的安定を維持するための防衛的な対処的行動の現れともみなせる。すなわち、この性格傾向は、発病を阻止する因子としての側面も同時に併せ持つことも見逃せない。
なお、メランコリー親和型性格のもう一つの特徴として忘れてはならないのが、過度の良心性、小心さ、消極性、保守性などの弱力性といわれる特徴である。
抑うつ神経症はメランコリー親和型性格と大きく異なり、未熟で依存的、秩序愛や他者配慮性に欠け、失敗を他者や境遇のせいにし、攻撃的である、などといった特徴が指摘され、それゆえ社会適応にも困難が生じることが多い。
今日の日本の社会環境の影響を強く受けたうつ病の一類型として、逃避型抑うつがある。物資的に恵まれ過保護に育てられ、知能も高く生活史に葛藤が少ない。プライドは高く、身についた高い生活水準や体面を努力せずに保ちたいという願望が強い。
弱力性のヒステリー性格の特徴を持ち、窮地に追い込まれると失立、失歩などの典型的ヒステリー症状を示す。
病前性格がメランコリー親和型性格に該当するのか、あるいは未熟性、依存性、自己愛性が目立つ性格であるのかといった病前性格特徴の適切な把握が鑑別診断の有用な指標となりうる。
柔軟性の乏しさ、硬さ、行き過ぎた他者配慮性などメランコリー親和型性格のはらむ発病危険要因に気付かせ、社会的な役割に埋没した自己を見直すことがうつ病の再発予防に少しでも貢献できることが期待されている。
4.選んだ論文の内容とビデオの内容から自分自身で考えたことを将来医師になる目で据えた考察
今回のビデオと論文からうつ病について調べた結果、うつ病の原因としては職場での過度のプレッシャー、あせり、コミュニケーション不足が考えられ、それで、失敗し、精神的に追い詰められる、そしてうつ病になってしまう。それに追い討ちをかけるように行われる人員削減によるプレッシャーと過重労働によるストレスが大きな要因だと思う。最近ではストレスも問診や血液検査、機器である程度わかるようになってきている。そのストレスは個人によって感じ方が違うし性格も大きく影響してくる。表面上、上手く役をこなしている人も深層の人格のストレスがいつ発病するかわからない。特に完璧を目指すこと、理想の自分を高く持つことはいいことであるが、うつ病になりやすい諸刃の剣のようだと思う。現代ではストレスが無いようにみえる人でも、多かれ少なかれ何かしらストレスを抱えている。留年して塞ぎ込んで引きこもったりせず、今をいきてこれたのも、あまり思い詰めずに気楽に前向きに物事を捉えていくことがストレスとのいい付き合い方をしてきたからだと思う。現在の若者の引きこもりはストレスからの逃避を表している。社会問題となっている引きこもりを推奨するわけではないが、ストレスで自殺者が増えている中でのひきこもりは生きていればこその喜びを知っている。医師として患者さんが死ぬことが最も上手くいかないことだと思うし、子供の頃からカウンセリングによる心のケアで性格を把握し、その子の正確にあったケアをもっと日常にいれていったら、変わっていくとかんがえられる。
このストレス社会への対策としてはコミュニケーションの場を増すこと、協力しあって仕事をこなし助け合い、一人で抱えこまないこと、何かしら熱中できる趣味を持つことにあると思う、ストレスチェックをして産業医に診てもらうが結果は上司に見せず、結果から環境を変える。うつ病からカムバックしてきた社員の受け入れ方を整えるなどが考えられ、これからの職場のあり方が問われてくる.
5.まとめ
今回このような1つの病気について、このようなという視点から考える機会はあまりなく、1つの事象は一面からのみ見がちである。これは大変危険であり、その裏面には必ず認識しておかなければならない事実が隠されていることを知りました。
今回のうつ病の件で言えば、うつ病は「心の弱さを薬で治す」という観点からのみで話が進んでいくと、あくまで薬は補助的な役割で、ストレスの原因を解決、改善していくことの方がずっと重要だとわかったし。それにうつ病が治ったからといって、すぐに社会復帰できるとは限らないという、現実も気がついた。
近年、よく耳にする「チーム医療」という言葉があるが、それは病院内の専門の先生が集まって症例を検討するだけのものでなく、大きなくくりで、「原因の追究と対策」や「治療方法の研究」など、多方面から病気に迫っていくことでもあると感じました。